【vol.012】仲良しだった家族がギスギス…。魔性の柴犬は知る由もなし。




事の発端は、何気無い次女の一言だった。

柴犬ガウナ
もうすぐ生後5ヶ月の柴女子。犬は喜び庭かけ回ると聞いていたが、ホットカーペットの上から一歩も動かない。次女のおまたに挟まれて寝るのが至福。

PM20:00

夕食も終わり、家族だんらんの至福の時間。
次女はガウナの横に寝転び、うっとりとした目でガウナを見つめていた。
うとうとしているガウナの横で、次女がぼそりと呟いた…

 

次女「ガウナって誰のことが一番好きなんやろ?」

 

次女はガウナに一番モテたいと思っている様だ。

 

次女「次女のことを一番好きでいてくれてるかなー?」

 

次女のガウナを思う気持ちにはほっこりする。
しかし残念ながら、ペットショップからお迎えしたのも、夜の散歩も、ガウナが夜泣きした時も、一番手をかけているのは現時点では父だ。

 

父「ははは。次女もよく世話をしてくれているけど、現時点では父のことが一番好きなんじゃないかなー。」

 

(でも、すぐに次女の事ももっともっと好きになるよ)そう思いながら、父は優しく応えた。

その時だった。キッチンから突然

 

母「は?何言ってんの?母のことが一番に決まってるじゃん!」

父「え?」

 

さらには、スマホを片手に

 

長女「ちょいちょい。長女に決まってるじゃん。」

父「え?え?」

 

そんな長女の態度に次女も黙ってはいない。

 

次女「はー?長女は絶対ないわ!」

長女「は?(怒)」

父「ちょ…」

なんと、驚くことに家族全員、自分が一番ガウナにモテていると思っていた様だ。



そこからの争いは醜いものだった…。

絵に描いたような幸せの団欒は一変、血で血を洗う激しい舌戦となった。

皆それぞれが一番愛されている理由を主張する。

一番手:父

父の主張
ソファーに座っていると、呼んでもないのにガウナの方から父の膝の上に乗ってくる。さらには膝の上に留まらず、お腹や肩によじ登り、顔に擦り寄ってくる。
家族の反論
母「それは父がデブだから」
次女「父がデブでぬくいから」
長女「父のパジャマがもふもふだし、デブだから」

父「デブじゃねーし!」

二番手:母

母の主張
ホットカーペットの上に座っていると、ガウナが母にぴったりと体をくっつけて離れない。
家族の反論
父「それはただ背もたれとしてくっついてるだけ」
次女「母の太ももが太いだけ」
長女「母がホットカーペットの上から微動だにしないだけ」

母「絶対、母が好きでくっついてきてるし!」

三番手:次女

次女の主張
すぐに口をペロペロしてくる。
家族の反論
父「それは誰にでもしてくる」
母「口の周りのチョコを舐めてるだけ」
長女「毎日顔を洗ってないからじゃない?」

次女「絶対、一番は次女やしな!」

四番手:長女

長女の主張
「おすわり」とか「まて」とか長女の言うことはちゃんと聞く
家族の反論
父「お前はない」
母「お前はない」
次女「お前はない」

長女「ひどい…(涙)」

 

ガウナから一番モテたい、という皆の思いをガウナは知る由もない。

終わり

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